クルーズレポート
  
個人主義的レポート
NORWEGIAN EPIC
ノルウェージャンクルーズライン 
ノルウェージャン・エピック
イギリス・サウザンプトン デビュークルーズ
2010年6月
150000トン、4200名を乗せるメガシップがデビュー。ノルウェージャンクルーズラインとしては初の10万トンオーバー。”オールドNCLファン”としてはどこか感慨深いものがある。
構想から4年 を費やしたNCLの意欲作は、すべてが新しく既成概念を打破した斬新な仕上がりに。船内は洗練されていてとてもスマート。高級感さえ感じられる空間も多い。
バルコニー付キャビン、壁面からベッド、ソファにいたるまでウェーブしている。そして部屋に入ってすぐ、左にシャワーブース、右にトイレと独立式に。そしてシンクはなんと部屋の中。クローゼットはいちばんベランダ側に配置。すべては逆転の発想から生またのか。斬新、そしていつの時代もわが道を行くNCLらしい。

 
この船には、マンダラ・スパが出店していて、そのスパエリアへアクセスすることが出来るスパ・スイート と呼ばれるキャビン。丸いベッドの後ろに独立したトイレとシャワーブース。そしてベッドの前にバスタブが。
最近のクルーズ船にはめずらしいシングルルーム、その名もストゥーディオ 。わずかな追加料金で一人旅が実現する。そしてストゥーディオ船客のためのリビングルームがあり、ここがシングルクルーザー同士の語らいの場となる。 抜群のアイデアだと思う。
他社を圧倒する食のバリエーション。船内には実に17ヶ所のレストランが用意されている。日本人にうれしいのはやっぱり日本食や中華料理が船上で食べられること。しかも同じグループ会社のスタークルーズ仕込みだから、これがまた美味しい。(事実、スーパースターヴァーゴの中華や日本食は評判がいい)
少し細身の美しい形の”江戸前寿司”はネタも新鮮。シャンハイというチャイニーズレストランでは飲茶のランチでホクホクの 蒸し餃子と汁そば。日頃食べ慣れた味にほっとする。思わず船上にいることを忘れてしまいそうになる。
クラシックな革張りのソファが並べられたエントランス、
この奥に洋上初であろうブラジルのシュラスコ料理
カグニーズというかなりグレードの高いステーキハウスがある。
シックでクールなインテリア、これで本当にカジュアル船?
プレミアムクラスの船と間違えるほど。
じゃぁ、カジュアル、プレミアムなんていう呼び方は何を意味する?
それは船のグレードを意味するのではなく、スタイルを意味するような気がしてきた。

メガシップに乗ったら寝ている暇はない
シアターではブルーマンのショー、
H2Oという屋外型ディスコにはエネルギーが溢れ、
ジャズの生演奏が聞こえてくるバーもある。
なぜクルーズ船にボウリングレーン?
なぜ屋外にもカジノ? 
それはNCLだからとしか言いようがない。

 
都会的なイメージのメインダイニング「マンハッタン」でのディナー、ここでまさにライブ演奏が始まった。
ディナーの後にシアターへ向かうというクルーズの定番流儀はここに崩れた。
ディナーとエンターティメントを一緒に楽しむ。
演奏が始まると船客はもちろんのこと、ウェイターも楽しそう。
この船は、 ライティングが実に美しい。
平凡なインサイドのキャビンさえも、ふかふかの真っ白なベッドカバーにピンポイントのLEDライトをあてるだけでとてもクリアな印象を受ける。
ライティングには最も手軽に部屋の雰囲気を変える力があると
聞いたことがある。
エピックのライティングは、実に巧みである。
 
最上階のプールあたりを縦横無尽にはりめぐらされた 超ロング・ウォータースライダーロッククライミング
これが最新のメガシップ。

ノルウェージャン・エピックは大西洋を横断後、ニューヨークでの命名式を経て、マイアミからの東西カリブ海7泊クルーズに就航する。そこにはロイヤルカリビアン、カーニバルといった強敵が待ち受けている。
しかしエピックは、やっぱりクールにロアタン(ホンジュラス)、セントトーマス、コスタマヤなど極上のリゾート地へ船客を誘う気がする。
スーツやドレスなんか持って行かなくて、船の上で”スシ”、”テッパンヤキ”、”サケ”、これがNCL流のクールなカリブ海クルーズ。
だけど、15万トン4200人乗りの超巨大船。1週間のクルーズで17ヶ所のレストランなんて食べつくせるはずがない。人間が掌握できる大きさをはるかに超えている。
エピックを下船後、ロンドン・ヒースロー空港でトラベル雑誌に目がとまった。エピックが表紙を飾っていた。そして、サブタイトルが
"THE WAIT IS OVER"
現代のクルーズ船建造において4年という”開発期間”は異例の長さといえる。それでもNCL社は、これがやりたかったのだ、というメッセージをこの船に強烈に詰め込んでいた。
すごくありふれた言い方だけど、このノルウェージャン・エピックという船、大ブームを巻き起こすような気がする。

日本出発前、まさかこの船にこんなににされてしまうとは思わなかった。 船を下りて1週間が経つが、今も頭の中でエピックを追いかけている。



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