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個人主義的レポート
L'Austral
ロストラル (ポナン)
日本周遊 大阪〜舞鶴
2015年4月

4/22 大阪
4/23 宇野
4/24 広島
4/25 宇和島
4/26 屋久島
4/27 長崎
4/28 釜山
4/29 境港
4/30 京都舞鶴


 今、巷では外国人による訪日旅行ば爆発的なブームとなっている。テレビでは中国人の爆買いや韓国からの旅行者の話題が多いが、実は欧米富裕層の訪日旅行も激増している。

不思議なクルーズがある。とあるフランス船が日本を周遊している。船客の半分はフランスから飛行機で日本にやってきてこの船に乗る。船好きというよりは、効率よく日本を回る手段として選んでいる。その船の名はロストラル。2011年に就航したフランス船、わずか264名のゲストをお迎えするハイグレードなクルーズ船だ。毎晩自慢のフレンチフルコースとワインの宴が日本周遊クルーズにて繰り広げられている。そして日本人も乗船する。日本ではまだまだクルーズ人口が少ない中、この国にも20年以上前から船旅を愛好する方がいらっしゃり、そういうクルーズ上級者はいい船は大きい船ではなく小さい船であることを知っている。小さい船=少ない船客こそ、パーソナルなサービス、美味しい食事が期待できることを知っているのだ。今年の4月、大阪から京都舞鶴へ8泊のクルーズに乗船、全室完売の盛況ぶり、フランス以外にもアメリカ、オーストラリア、そして日本人船客も乗船している。

 
ロストラルの寄港地はユニーク。大型船では行けない場所をあえて選ぶ。宇野、宇和島、屋久島などは最たる例だ。特に私は宇和島が印象深かった。小さな町、かつては真珠の養殖で栄えたが、今は下火で街の中心にある大きな商店街は歩く人も少なくどこか寂しい。それでも地元の関係者が精いっぱいのおもてなしでロストラルの寄港を歓待してくれる。港は142mのロストラルがぎりぎり入れる程度。山頂に宇和島城がそびえる。商店街と港の周りを少しぶらぶら歩いた程度だが、なぜか印象深い港、今でも鮮明に憶えている。      
 
 
 
 
 

次に訪れた屋久島は、急勾配の島であり、南国らしく色鮮やかな花が咲き乱れ、緑も色がとても深い。屋久杉、目の当たりにすると圧倒される。自然の底知れない力強さ、息遣いを感じる。夕暮れ時、港を離れるとき、小さな子供を連れた母親が港まで船を見に来ていた。それを見てフランス人キャプテンがブリッジから手を振る。当たり前だがこの南の島で生まれ育って生活を営む人たちがいる。フランスの客船はあまりにもかけ離れた世界、いやそう決めつけてはいけないか。いつかこの少年と母親も船旅を楽しむ日が来るかもしれない。
 

 
 

長崎は、折しも帆船パレードで賑わっていた。中華街から出島、眼鏡橋まで歩いてみる。異国情緒、坂道、いまさらながら「いい街だなぁ。」と感じる。長崎の三菱重工では、今大きな問題が起きている。ドイツのクルーズ船を建造中なのだが、実は上手くいっていない。度重なる仕様変更で建造は遅れ、巨額の損失を計上している。ロストラルが出港する夕暮れ、溶接の火花が散っている。この瞬間まだ仕事を懸命にしている人がたくさんいる。この先なんとか上手く進行してほしいものだ。 
 

 ロストラルの船内ライフ、6:30PM頃ラウンジで食前の一杯をやるのが習慣となる。この船はクルーズ料金にアルコール類が含まれているため、バーやラウンジでお酒を頼んでもいちいちサインする必要がない。小さい船だからバーテンダーも次第に船客の名前を憶え、酒の好みを憶えるので、数日もたてば、by name で好みのカクテルやシャンペンがオードブルとともに何も注文しなくても供される。

毎晩7:30PMからフレンチディナーが始まる。定期的にフランスから鴨肉やフォアグラなどの食材を空輸してる。シェフ曰くフランス産でなければだめらしい。そして日本の各港で新鮮な魚や野菜を積む。極力冷凍食品は使わない。そしてワインにこだわり、チーズにこだわる。ロストラルの船内は思いっきりフランスなので、今日本周遊しているということを忘れてしまうときがある。

ディナーの後はシアターでフレンチカンカンやキャバレースタイルのショーなどが毎日繰り広げられる。

 このクルーズの醍醐味は、フランス人船客との交わりにある。最近外国船を日本の旅行会社がチャーターするケースがあるがあれはつまらない。せっかく外国船でも船客が全員日本人では意味がない。フランス人がいてアメリカ人がいて、そこに日本人が交わる。バーカウンターで隣り合わせればどちらからともなく「Where are you from ?」と話しかける。日中船内のアトラクションとして行われる折り紙教室では、日仏のご婦人方が楽しそうに鶴を折っている。当然圧倒的に日本人の方が上手だ。そして気が付けば船内に友達がたくさんあふれている。このなぜか話しかけたくなる程よい距離感が小型船の魅力だ。

   
 

 今回、日本からはたくさんのお客様にご乗船いただいた。ハネムーナーの方からそろそろ長い飛行機がつらくなってきたシニア世代(若かりし頃は地中海クルーズへ出かけた。)、シングルの方など、様々な方が乗船され、フランス船で巡る日本周遊クルーズを楽しまれた。最後の寄港地、境港からは出雲大社へ行くことができる。

たまたまクルーズのコースに宇和島や境港が入っている。そこに日本人でありながら日本再発見の旅がある。日本人でも行ったことのない日本がある。そして歳を重ねるにつれ、我が国の素晴らしさを実感する。美しく、人は親切で、安全で。それはフランス人もアメリカ人も感じていて、日本に対する敬意を持っている。

このクルーズのひとつの特徴は瀬戸内海クルージングだ。瀬戸内海はあらためて素晴らしい海だと感じた。穏やかな多島海は、時間帯や場所により様々な表情を見せる。この船は24時間ブリッジに出入りOKで、とある深夜、瀬戸内海航行中にブリッジに行ってみた。日本人パイロットが寝ずの番でクルーに指示を出す。瀬戸内海には難所がいくつかあり、我々は今から来島海峡に差し掛かるところだった。横潮が怖いのだという。そして傍若無人な中国船や漁船、これらを上手くかわして行かなければならず、この時間帯のブリッジはさながら戦場であった。そんなことも知らず、いつもぐっすりとふかふかのベッドで眠っていた。ありがたいことだ。パイロットの方が教えてくださった。「春先、瀬戸の島々は山桜で満開になります。その桜たちが『私を見て、見て。』と一生懸命咲いてるんですよ。」と。最近思うことがある。プロフェッショナルと呼ばれる男は穏やかな笑顔の人が多い、と。

 ロストラルの日本周遊クルーズ、それは美しい私たちの国再発見の旅であり、洋上では毎晩美味しいフレンチをいただき、小さな港では地元の方の優しさに触れ、とても心に沁みるいい船旅だった。私は自分の国がとても好きになってきた。そして日本人に生まれてよかったとつくづく思う。この外国船で巡る日本周遊クルーズ、しばらく病み付きになりそうだ。

 

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